石原さとみさん主演。アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋ご覧になりましたか?
2020年毎週木曜22:00〜放送中
アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋
第4話「薬剤師が患者を救うことだってできる」
先日8/6木曜日に第4話「薬剤師が患者を救うことだってできる」の放送がありました。
病院薬剤師が主役のドラマ。放送前からこちらのドラマをとてもたのしみにしていました。
なぜなら、まず病院薬剤師を主役にするドラマは日本の連ドラ史上初だということ。それに加えてもとから病院薬剤師について知りたいという思いがあったからです。
私の身近に大学入学当初から病院薬剤師になりたいという友人がいました。その友人は成績優秀で望めばどこへでも就職が可能なはずななぜ病院薬剤師になりたいのか疑問でした。病院薬剤師の魅力が十分に理解できていなかったのです。
アンサング Unsungの意味・アンサングシンデレラとは?
アンサング シンデレラ Unsung Cinderellaとは、アンサング ヒーロ Unsung hero。「縁の下の力持ち」という言葉からきているそうです。
つまり、このタイトルは医療現場を「裏で支える存在」を意味しています。
「薬剤師は医者の奴隷」
アンサングシンデレラの第4話では「薬剤師は医者の奴隷」という言葉が一つキーワードになっていたように思います。
私が理解に苦しんでいた理由はこの言葉に集約されていると痛感しました。
病院であれば医師が処方した薬を出すだけ。なのではないか?と考えていたのです。
しかしドラマを4話目までみた今、その考えはすでに過去のものとなりました。
ドラマでは疑義照会のシーンが何度も出てきます。
疑義照会とは
処方箋記載内容が適切かどうか薬剤師が確認し、処方箋の作成者(処方医)に問い合わせて確かめること。
薬剤師法
薬剤師法第24条には以下のように定められています。
処方箋中に疑わしい点(疑義)がある場合は、発行した医師等に問い合わせて確かめること ・照会ができるまで調剤してはならない。
薬剤師法24条
チェック項目
- 薬剤名
- 処方箋の不備
- 副作用・薬物アレルギー
- 用量・用法
- 投与日数
- 同一・類似成分を含む薬の重複
- 相互作用(飲み合わせ)など
どんなに医師に権限があり、知識があり、能力があっても完璧はありえません。しかも医療の現場においては患者さん一人一人により様々なバックグラウンドがあり、飲んでいる薬も様々。そこで処方が間違っていた場合、誰も確認するひとがいなければ大惨事を招きかねません。
実際ドラマをみることで病院薬剤師の魅力・病院薬剤師でなければ携われない仕事の片鱗を理解できたような気がしています。
個人の経験談-薬の受け取り-
個人的な経験談をお話しすると、医師からの処方に対し薬局で薬を受け取る際、窓口で今飲んでいる薬を聞かれるたび、なぜ再度薬の確認を行うのだろう。もう処方された薬は明確で私はここに薬を受け取りに来たのに…とおもってしまうことさえありました。しかし、薬局の窓口での些細な会話さえ、患者ひとりひとりを守るためのコミュニケーションであり、薬剤師さん一人一人の仕事への責任だと、今なら理解でにます。
診察も薬の処方箋を発行するのも医師です。しかし、薬のことについて医師や歯科医師よりも知っているのが薬剤師であるということを忘れてはならないと深く反省しました。
ここで一言添えておきますが、医師はもちろん歯科医師も薬の処方を交付することができます。
処方箋の交付義務関連する法令
医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければ ならない。
医師法第 22 条
歯科医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなけ ればならない。(以下略)
歯科医師法第 21 条
法律上文言は同じですね。
処方箋を発行は医師、歯科医師に加え獣医師にのみ許された行為です。
歯科医師を目指すみなさんにとっても疑義照会が他人事ではないということをご理解いただけたでしょうか。
ドクターにとってもプライドはありますが、奢ることなく他職種への理解を深め、過ちがあれば正すことができる医療人にならねばならないと強く思ったのです。一つのミスが患者さんの命に関わることだってあるのですから。
他職種理解–医療系ドラマ–
職業体験や病院見学まですれば職業に対してなんとなく理解できる部分は増えるでしょう。しかし、本質的な部分は言葉だけではなかなか伝わらないのではないでしょうか。そういった意味でドラマやメディアの力は大きいと考えます。
実際医療系のドラマといえばどんなドラマが浮かびますか?
世代により代表作は違えど多くは医科を題材にしたドラマではないでしょうか?
以下に例をあげてみます。
救急医療医療といえば
コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 2008〜
江戸時代の医療といえば
JIN-仁- 2009〜
外科といえば
ドクターX〜外科医・大門未知子〜2012〜
身近でない職業もドラマやテレビの影響で志すきっかけになることが多いことは想像に難くないはずです。
医学部受験層の変化と志望理由
2020年現在。医学部受験は困難を極め、望んでも入学すらできない時代となりました。
その昔、医学部は国立大学以外学費が非常に高く資産がある家のご子息しか入学することが許されませんでした。
しかし、近年学費を下げることで優秀な学生への門戸が開かれ、偏差値が高いから医学部にいこう。という思考の人が増えたように思います。
仕事として素晴らしい仕事であるというのはもちろん志す理由に挙げられると考えますが、この時代の流れは学費やメディアの影響力も非常に大きいと私個人の意見を述べさせていただきたいです。
医療において担う役割の違い
4話では医学部に行きことができず薬剤師になったというバックグラウンドをもつ薬剤師・井之脇 海(いのわき かい)さん演じる羽倉 龍之介 が息子に医師になってほしいと望む医師である父親の期待と現在の薬剤師という仕事への思いとの間で葛藤します。
実際、アンサング・シンデレラの羽倉龍之介のような人は多いのではないでしょうか。時流により、医学部にいけず歯学部や薬学部をはじめとする医療系学部に入学する人が増えているように感じます。
同じ医療の世界とはいえ全く役割がちがいます。その点をどうかご理解いただきたいです。
この記事の裏テーマ
アンサングシンデレラの魅力をお伝えしたいのはもちろんですが、もうひとつお伝えしたい思いがあります。
それは…
医学部にいけなかったからというマイナスな思考ではなく、歯学部に入りたくて歯科医師になりたくて入学するという方が増えるよう沢山の情報を発信したい!
このブログに託している一つの思いです。
そのためには歯科医師という仕事の素晴らしさをお伝えせねばなりません。これからこのぶろぐをとおしてこの強い思いをお伝えしたいと考えております。
話を戻しまして…
医療系進学は特殊?
医学部、歯学生、薬学部をはじめ医療系の大学は非常に特殊な世界です。なぜなら18歳時点で将来の職業が決まったも同然という状況になければ進学しない世界だからです。
個人的なお話をすれば環境の影響は大いにあれど、幼い頃から漠然と歯科医師になりたいと考え、志と意志を持って進学しました。
しかし、大学生となり様々なコミュニティで様々な友人と会話をして初めて自分はとても特殊であることを自覚しました。
一般的に大学4年間は人生のモラトリアム期間。自分探しの時間。様々な職業について知り、アルバイトにあけくれる。そんな時間の過ごし方が大半であるということ。さらには、大学在学中はもちろん入学時に将来の職業を決めている・絞っている人はほんの一握りであることを知らなかったのです。
ふと立ち止まって考えてみればたったの18歳で生涯をささげる仕事を決めているのはおかしな話なのかもしれません。
しかし、18歳時点できめなければ医療の世界に入る権利すら得られないのも事実です。
メディアの影響力
以上の背景もあり、医療への門戸は狭いのではないでしょうか。さらに、仕事自体が身近でないことも挙げられます。
そんな中で18歳までに他職種を知る大きなきっかけがメディアだと私は考えます。
残念ながら歯科医師を題材にしたドラマはほとんどありません。
アンサング・シンデレラで薬剤師がスポットを浴びたことはとてもとても嬉しいことです!きっとこのドラマをきっかけに病院薬剤師の魅力が世間に伝わり、志す人が増えることでしょう。
いつか歯科医師に関するこんな素敵なドラマができればより多くの方に知っていただけるきっかけになるのではないかと考えております。
アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋
兎に角!仕事に没頭する葵みどり役・石原さとみさんが可愛いです!
石原さとみさんは毎度毎度役作りがしっかりとされていてドラマ毎に話題になりますよね。今回は医療現場とあってファッションで差をつけることは難しいなと考えていました。お団子スタイルが医療人として適切な髪のまとめ方であり、かわいらしい。流石だなと。そして、襟足も美しく抜かりがありません。
ドラマ内では医師への疑義照会のたびに、「医者になったつもりか。」と医師や患者さんから非難の言葉を浴びせられます。
何度も言いますが診察を行うのも薬を処方するのも医者です。しかし、この発言の裏には薬剤師の仕事への理解の低さが垣間見えているのではないでしょうか。個々人の理解はもちろん。社会の目を代表した言葉にも思えます。
アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋は薬剤師への理解を深めることができる数少ないドラマです。病院薬剤師のお仕事内容はもちろん様々な人間模様も描かれているのも見どころのひとつ。ご興味のある方はぜひご覧になってみてみてください!
最後に
個人的におすすめの医療ドラマについても今後ご紹介したいと考えております!お楽しみに♪
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